社会学系コンソーシアム 2022年度(第15回)シンポジウムのお知らせ
「ダイバーシティ推進と日本社会の<不平等>」
■主催:社会学コンソーシアム・日本学術会議社会学委員会
■日時:2023年1月28日(土)13:00~16:00(ZOOMによるオンライン開催)
■開催趣旨:
1990年代に「多文化」「多文化共生」という言葉が流布され、地域社会や企業を中心に異なる国籍や民族の人々との協同が新しい価値観や創造性をもたらす上でも重要であるとの認識が広がりをみせた。その後、2000年代半ばから企業を中心に「多様性が創造的価値をもたらす」といった言説と共に「ダイバーシティ」が喧伝され、この言葉が各方面で使われ、具体的な施策が進んでいる。
ここでは、「ダイバーシティ推進」という意味/含意をとりあえず「ジェンダー、国籍、エスニシティ、宗教、セクシャリティの違いや、障がいの有無にかかわらず、すべての人の能力、個性、思想等が十全に尊重され。公正で平等な環境の下で社会活動が行われるための活動および施策」と位置づけよう。こうした活動や施策がきわめて重要な社会的課題であることは言うまでもない。
しかしながら、今日の日本社会の現状をみると、「ダイバーシティ推進」が、企業、労働、教育(大学)、福祉、学会といった各分野で強調されている一方で、その動きとは相反するような事態も浮び上っている。たとえば、セクシャリティの多様性が認知される一方で、ジェンダー間の格差に関する認識が薄れ、具体的な改善が一向に進まない状況がある。あるいは、名古屋の入管問題に端的に示されたように、「非正規移民」を生み出す出入国管理制度の問題や国籍・エスニシティの違いによる差別や排除といった深刻な事態がある。また障がい者に対する理解がすすむ一方で、障がいを持つ人々を「非生産的」であると見なす意識も根強く存在している。
「ダイバーシティ推進」とそれを拒むような動きが、それぞれの分野でいかなる形で、どのような力関係のもとで生まれているのか。そこに、社会的領域の違いを超えて、日本社会全体に共通した思想的・社会的・制度的問題はないのか。あるいは「ダイバーシティ推進」のための施策や活動を推進する側に「弱点」や「課題」はないのか。
本公開シンポジウムは、こうした社会学が対象にするフィールド全体にかかわる問題について、多様な分野から報告をおこない、議論することを目指す。
■次第:
司会:伊藤 守(早稲田大学教育・総合科学学術院教授) 有末 賢(亜細亜大学都市創造学部教授)
13:00 開会の挨拶 佐藤嘉倫(日本学術会議会員、京都先端科学大学人文学部教授・東北大学大学院文学研究科教授)
13:10 シンポジウムの趣旨説明 伊藤 守
13:15
第1報告(20分)樋口直人(早稲田大学人間科学部教授)「ダイバーシティは不平等を推進するのか、是正するのか:移民研究の立場から」
第2報告(20分)山田信行(駒澤大学文学部教授)「企業におけるダイバーシティを阻んできたもの:歴史的視点から」
第3報告(20分)田垣正晋(大阪公立大学現代システム科学域教授)「障がい者という/におけるダイバーシティ」
第4報告(20分)林 香里(東京大学情報学環教授)「ダイバーシティから見る日本のジャーナリズム」
14:35 休憩
14:40
コメンテータからの質問ならびに質疑(2人×10分)
堅田香緒里(法政大学社会学部准教授)
江原由美子(東京都立大学名誉教授)
15:00 報告者からのリプライ(4人×5分)
15:20 会場からの質問(35分)
15:55 閉会の挨拶 和気純子(日本学術会議会員、東京都立大学大学院人文科学研究科教授)
16:00 終了